二国家解決という名の「親シオニズム」
前回の記事「日共と米国民主党の構造的共通点──「進歩勢力」という名のガス抜き構造」では、
日共と米国民主党左派との構造が一緒であることを取り上げました。
本記事は日共がなぜ「親イスラエル・親ユダヤ」なのかを取り上げます。
日本共産党のイスラエル政策を振り返ると、その「親シオニズム」色は明らかだ。
党の公式声明(2021年5月「イスラエル・パレスチナ紛争に関する声明」)では、ガザ攻撃を非難しつつも、こう明記している。
「イスラエルとパレスチナが平和に共存する、二国家解決を支持する」
2023年10月のハマス=イスラエル衝突時にも「両者の自制」を呼びかけ、パレスチナ側のロケット攻撃を「国際法違反」と糾弾した。
これは、米国民主党左派(例:AOC、イルハン・オマールら)がイスラエルを「アパルトヘイト国家」と批判し、武器禁輸を求める姿勢に比べ、はるかに“穏健”──つまり、親イスラエル的である。
二国家解決の党是とその意味
日共は国連決議を根拠に、イスラエルの「存在」を前提としている。
これはすなわち、ユダヤ人国家の正当性=シオニズムの基盤を認める立場だ。
マルクス主義的視点から批判されてきた“民族主義的国家”の肯定であり、
ProleWikiの分析でも「日共はシオニスト・エンティティの存在を擁護し、パレスチナ抵抗を非難している」と明確に指摘されている。
「ガザ攻撃非難」の限界──曖昧な停戦要求
2025年5月の声明では「イスラエルの地上作戦を非難」としたが、具体策は「即時停戦要請」にとどまった。
イスラエルへの経済制裁や武器輸入停止(日本政府はイスラエル製ドローン導入を検討中)を求めることはなく、
むしろ「日米の仲介」に期待を寄せる姿勢を示した。
これは、民主党主流派の「イスラエル自衛権擁護」路線と一致しており、
民主党左派の「ジェノサイド停止」要求よりも後退している。
「親ユダヤ」路線の歴史的背景
戦後の日共は、ソ連・中国との対立を経て「自主独立路線」を掲げた。
その中でホロコーストの記憶を重視し、反ユダヤ主義を「ファシズムの残滓」として批判する綱領を採用。
この道徳的立場が、イスラエルを「ユダヤ人の安全保障国家」とみなす間接的擁護へとつながっている。
2024年の長崎原爆式典でイスラエルの招待拒否が議論になった際、
党幹部が「批判されるべきではない」と擁護したが、
それはあくまで“反戦ポーズ”の範囲内であり、党の親イスラエル体質そのものを変えるものではなかった。
米国民主党左派との構造的相似
米国民主党左派は、ゾーラン・マンダニのような反シオニズム派を“ガス抜き弁”として党内に取り込み、
体制批判を制度内に封じ込めている。
日共はこのマンダニ氏を称賛しつつ、
自党の親イスラエル路線を維持している。
米国民主党左派のユダヤ系米国人バーニー・サンダースのスタンスに近い。サンダースはネタニヤフなどを批判するもののイスラエルを否定しない、反シオニズムではない。日共もそれに準ずる。
これこそまさに、「称賛による吸収」=欺瞞的連帯の典型である。
日共が親イスラエル的である構造的要因
| 要因 | 内容 |
|---|---|
| ① 独立路線と現実主義のジレンマ | ソ連・中国からの自立を掲げた結果、国際共産主義陣営内で孤立を避けるために「中道外交」を選択。イスラエル批判を抑制。 |
| ② 国内政治上の“反戦アピール”と矛盾 | 憲法9条擁護を掲げながら、イスラエルの“自衛権”を認める姿勢は、日米安保の延命と同構造。 |
| ③ マンダニ称賛の戦略的利用 | 若年層向けの左派リブランドとしてマンダニを利用する一方、自党の外交姿勢には反映せず。 |
「科学的社会主義」の名に値しない二枚舌
もし本当に“科学的社会主義”を名乗るなら、
マンダニ氏のような反シオニズム的立場を採用し、
イスラエルへの制裁やBDS支持を明確に打ち出すべきだ。
しかし日共は、
ガザの惨劇に「自制を求める」と述べるだけで、
体制批判の本筋からは完全に逸脱している。
結論──日共の仮面を剥ぎ、「真の抵抗」を求めよ
日本共産党のマンダニ称賛は、
見かけ上の「左派連帯」を演出するための政治的演出に過ぎない。
その本質は、
シオニズムを温存し、米国リベラル秩序の枠内に収まる“擬似反体制”だ。
マンダニ氏の勝利が希望を象徴する一方で、
日共の称賛はその希望を利用する“幻想”にすぎない。
──これぞ二枚舌の極みなり、
「反戦」ではなく「反帝国主義」へと踏み込む時が来ている。