はじめに
「ウクライナ戦争で小麦が高騰した」──ニュースではそう報じられた。
だが、日本はウクライナ産小麦を輸入していない。
「米価高騰」「小麦値上げ」──理由は“国際情勢”ではなく、“国内構造”。
本当の問題は農家でも市場でもなく、農政の上層部にあります。
Ⅰ. 鉄の三角形──農政トライアングルの実態
「鉄のトライアングル」、あるいは「農政トライアングル」とは、
戦後日本の農政を支配してきた次の三者による利益循環構造を指します。
- 自民党農林族議員(政治)
- 農林水産省(官僚)
- JA全中をはじめとする農協グループ(業界)
この三者は、互いの利益を守るために密接に連携してきました。
- JA → 政治家:組織票・献金で支援
- 政治家 → 農水省:予算・制度で優遇
- 農水省 → JA:補助金と天下りポストを供与
結果として「農家保護」ではなく、「組織維持」が政策の目的となったのです。
Ⅱ. JAとバイエル──農薬産業との癒着
バイエル クロップサイエンス日本法人の社長は2023年、
「JAは重要なパートナーであり、農薬メーカーと一体で農業を支える関係」と明言しました。
つまり、農協はもはや“販売組織”ではなく、国際農薬メーカーの販路でもあります。
種子処理剤「ルーチン®FS」「キラップシード®FS」など、
バイエル系のネオニコチノイド系薬剤が、JA経由で全国に流通。
日本の農薬市場は実質的にBayer=モンサント体制の下請け構造です。
Ⅲ. 農水省の「白モノ利権」──小麦で稼ぐ構造
米だけではなく、小麦でも農水省は利益構造を確保しています。
その中心にあるのが、天下り先である独立行政法人・農畜産業振興機構(alic)。
| 項目 | 内容 | 背後の仕組み |
|---|---|---|
| 輸入独占制度 | 日本では小麦輸入を民間が直接行えず、政府(農水省)が一括購入し、alicが実務を担当。 | 形式上は「国家貿易制度」。価格・数量・業者選定すべてを行政が握る。 |
| マークアップ収益 | 輸入価格に15〜20円/kg上乗せして製粉会社に販売。その差益が特別会計→alicへ流れる。 | 年間300〜400億円規模。 |
| alicによる資金再配分 | 上乗せ分の一部を「国内麦振興」「飼料助成」などの名目で再配分。 | 実態は農水官僚の天下り先(理事・顧問)を支える財源。 |
| 天下り温存機構 | alicは農水省OBが歴代理事ポストを独占。 | 予算運用権をもとに天下り人事の受け皿になっている。 |
「白モノ利権」とは、小麦という“白い粉”をめぐる利権。
輸入の差益を通じて、alic→天下り→自民党農林族へと利益が還流しています。
Ⅳ. 価格操作の裏側──米と小麦の“二重構造”
ウクライナ戦争を口実に小麦価格を引き上げました。
同時に「コメ離れ」を促進する政策が展開されました。
主食構造を揺さぶり、消費を誘導することで利益を拡大する仕組みです。
小麦価格を上げて利益を確保し、それだけでは小麦が売れなくなる。
それを防ぐため、コメ離れを更に進めてコメ価格を2倍・3倍に釣り上げる。
すべては、農水省・alic・JA・バイエル・自民党の連動構造。
消費者の負担の裏に、利権が層をなして積み重なっています。
Ⅴ. 構図
米国の市場操作が、日本の消費構造と価格体系にまで影響を及ぼし、
コメ離れの推進と価格上昇を一体化した“経済設計”として機能している。
結論
農政は「農家のため」ではなく、「農政トライアングルのため」に設計されている。
米も小麦も、価格操作と天下り利権の道具に過ぎない。
そしてその構造の先にあるのは、国際企業の支配網(Bayer・モンサント)。
日本の食卓はすでに、外資と官僚と政党のトライアングルに包囲されている。